緋燿(ヒヨウ)、あけましておめでとう」
「あけましておめでとう」
「――というわけで、はい」
 俺は袋を渡された。
 何か入っているようだ。
 そして蒼氷(ソウヒ)は俺に袋を渡すととっとと消えてしまった。
 そして渡された袋を開けてみる。
 中には――
「なんだ……これ……」
 どうしてこんなものが……
 そう思った俺は正常なはずだ。
 それくらい妙なものだった。
 それは服だった。
 ただの服ならまだいい……
 だがこれは――
 この白と黒の斑模様は――
 それにこの耳と角は――
「あ、あけましておめでとうございます」
 後ろから声をかけられて振り向いた。
「し、白雲(シユク)さん!?」
 衣装を見て固まっていた俺に衝撃を与えた。
「そ、その格好は――」
「え? 何か変ですか」
 そう言って自分の格好をマジマジと見始める白雲(シユク)さん。
 白雲(シユク)さんは頭に牛の角と耳をつけ、牛柄の服を身に着けていた。
 俺が蒼氷(ソウヒ)に渡されたものと一緒だ……
 思わず黙り込むと、そこに蒼氷(ソウヒ)が現れた。
 それを見て俺は何も言えなくなった。
 蒼氷(ソウヒ)も牛柄コスチュームだった……
「ちょっと緋燿(ヒヨウ)! いつまでそんな格好してるわけ?」
 怒られた。
「な、なあ……なんでこんな――」
「僕だって好きでこんな恰好するわけないでしょ!!」
 そう言いきった蒼氷(ソウヒ)の後ろには――
「牛!?」
 本物の牛がいた。
「ああ、これ? 連れて行くんだよ」
「どこに?」
「仕事に決まってるでしょ!?」
 何当たり前なこと言ってるわけ、と顔をしかめられた。
「いいからとっとと着替える!」
 急かされたのと、ちょっと蒼氷(ソウヒ)の身にまとっている空気が怖かったので着替え始めた。
「こういう事を率先してやってくれる碧風(ヘキフ)は年末で忙しいのにサボるんじゃないと連れてかれちゃったしさ」
 ムスッとしている。
「こんな格好で何をするんだ?」
「教学部を練り歩くんだよ」
「で? その牛は?」
「これ? 僕はこれに乗って行くんだよ」
 当然でしょ、と言い切られる。
銀生(カネユ)に今年こそはやってくれって言われたんだよ。しかも用意周到に準備万端でさ」
 物凄く不満そうだ。
「さ、行くよ」
「はい」
「……ああ」
 着替え終わった俺は牛に乗った蒼氷(ソウヒ)とこんな格好をさせられているのに元気な白雲(シユク)さんと一緒に教学部に行くことになった。



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2009年1月1日に日記に掲載したもの。
偶に、ごく稀に蒼氷(ソウヒ)は仕事をします。
でも率先して仕事をすることはまずありえない。
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