監視世界アービトレイア――
 ここはディヴァイアを管理するために作られた対の世界。
 ディヴァイアとは切っても切れない関係にある。

 この世界は六つに分かれている。
 魔界・冥界・霊界・幽界・死界・深淵――

 そしてこの六つの世界は別々の場所に存在する。
 アービトレイアはディヴァイアと同じように大地がある。
 その大地がある世界を魔界と呼ぶ。
 その魔界の遥か上空に冥界がある。
 そして暗き闇の支配する地下に深淵がある。
 霊界、幽界、死界は別の空間に存在する。

 この六つの世界にはそれぞれ国がある。

 魔界には大きな三つの国がある。
 邪宗国ヘレスリィコンティネンス・夜影国クルーオルティコンティネンス・消魔国サーヴェッジコンティネンス。
 この三つの国は離れた所にある。
 そして国の中には当然都市が存在する。
 だが、人が住んでいる所よりも人が住めない土地の方が遥かに多い。

 冥界には四つの国があるが、それぞれ独立した浮遊大陸である。
 暗影国ルインコンティネンス・月影国ルースレスコンティネンス・陰魔国トラジェディコンティネンス・陰淵国フレンジィコンティネンス。
 暗影国ルインコンティネンスを中心にして離れた場所に存在する。
 魔界と違って人工的に造られた世界なため、暮らしやすく、魔皇(まこう)族や亜人達がたくさん暮らしている。

 人間の魂を回収するために創られた霊界。
 そんなに広い世界ではないが、二つの国がある。
 滅霊国ディスペアーコンティネンス・死滅国メーシレスコンティネンス。
 人間の数が減ってきている昨今、仕事量が減少してきている。

 亜人の魂を回収するために作られた幽界。
 一般的な魔皇(まこう)族も皆、死後はここに行き、転生する。
 霊界よりは広く、二つの国がある。
 闇寂国コラプスコンティネンス・暗淋国ペリッシュコンティネンス。
 世界に亜人が増えて来たため、仕事が増加している。

 罪を犯した魂を回収するために創られた死界。
 亜人や人間の魂を回収しているが、犯罪者なだけあってちょっと物騒なので管理は厳しい。
 狭い世界だが、二つの国がある。
 断滅国コンヴィクトコンティネンス・捌滅国ブルータルコンティネンス。
 場所柄、魔族や魔物は全くいない。
 六つの世界の中で最も治安が良い。

 魔族、魔物、堕神、堕天使など、力ある反逆者を隔離するために創られた深淵。
 霊界や幽界よりも遥かに広いが、人が住める場所は僅かである。
 主に牢獄が世界の大半を占めている。
 こんな世界だが、二つの国がある。
 深廷国アビスコンティネンス・淵庭国バーバレスコンティネンス。
 力の強いモノが多いので監視の目が非常に厳しい。
 治安は良いのだが、近づきがたい雰囲気がある。

 こんな六つの世界からなる監視世界アービトレイア。
 好戦的な魔皇(まこう)族が主な種族なため、諍いが絶えない。
 特に戦闘狂となった魔皇(まこう)族は“魔族”と呼ばれ、魔皇(まこう)族と区別される。

 魔族は魔界と冥界に多くいた。
 そしてディヴァイアにも進出するようになっていた。

 そんな情勢が続く監視世界アービトレイア……

 ――創世暦5523778年、第18月[星の月]3日……暗影国ルインコンティネンス・寂滅都市アスフォデルにて、後に冥王となるアスモデウスが生誕する。