蒼氷(ソウヒ)にこき使われるのがすっかり日常と化した日々。
 偶には休みが欲しいと本気で思う。
 毎日毎日蒼氷(ソウヒ)にこき使われ、碧風(ヘキフ)様に使われ、白雲(シユク)さんの後始末をする。
 食事以外で接点がないのは桜愛(ササネ)様ぐらいだ。
 そしてその忙しい合間に死神の仕事もこなさなくてはならない。
 多忙を極める。
 これで倒れないのはひとえに神という種族のおかげだろう。
 でなければ今頃過労死だ。
 丈夫であることが救いとみるべきか、不運であったと嘆くべきかはわからない。
 それにこの識者の館は狭い上に人口密度も低いくせに三人もSSSランクの偉い神がいる。
 気は全く休まらない。
 休まる筈がない。
 何せ、この神界に四人しかいないと言われているSSSランクの神が三人。
 他にはあと一人しかいない。
 稀に蒼氷(ソウヒ)が忌々しそうに呟いている名前でもある。
 あんな口のきき方、蒼氷(ソウヒ)以外には絶対に出来ないだろう。
 実際会ったことは一度もないが、とても真面目で仕事熱心らしい。
 蒼氷(ソウヒ)碧風(ヘキフ)様とは大違いだ。
蒼氷(ソウヒ)
「何?」
「偶には休みたいんだが?」
「休み〜?」
 ものすっごく嫌そうな顔をする。
「でも緋燿(ヒヨウ)、修行中だよ」
「うぐっ」
「ここに来たのは何のため?」
「そ……それは――」
 俺は言葉に窮した。
 そんな俺をニッコリと見る蒼氷(ソウヒ)
緋燿(ヒヨウ)の年齢じゃそんなことしてる暇なんて微塵も無いよ」
 キッパリと言い切られた。
 ぐうの音も出ないとはまさにこのことだった。
 そして俺は泣く泣く休暇を諦めるしかなかった。