ね…………眠い。
 はっきり言おう。
 物凄く眠い。
 それはここ最近のハードスケジュールのせいだ。
 溜め息を吐きながらいつものように茶菓子と紅茶を用意する。
 そんな時、ノックが聞こえた。
 客?
 そう思ってエントランスホールに行くと、すでに白雲(シユク)さんがいた。
 そして白雲(シユク)さんが少し横に移動したとき、その人物が見えた。
 紫色の長い髪……
 見間違えようがない。
 あれは……
紫闇(シアン)様!?」
 俺の声に反応して紫闇(シアン)様がこちらを向いた。
「お久しぶりです。緋燿(ヒヨウ)
「はい」
「元気そうですね」
「……はい」
 無事ではある。
 とてつもなく忙しいが――
蒼氷(ソウヒ)殿はお元気ですか?」
「ええ、とても」
「今テラスにいらっしゃいますよ」
 白雲(シユク)さんがニコニコしながら告げた。
「案内してもらえますか?」
「では緋燿(ヒヨウ)が」
 そう言われるが――
「でもキッチンにティーセットが……」
 置きっぱなしである。
「準備途中ですか?」
「いや、用意だけは整っているけど……」
「ならそれはボクが運びます」
白雲(シユク)さんが……」
 一抹の不安が過ぎる。
「……お願いします」
 でも、上司を放っておくことは出来ない。
 俺は紫闇(シアン)様をテラスに案内した。




 そこには蒼氷(ソウヒ)碧風(ヘキフ)様、そして桜愛(ササネ)様がいる。
「まぁ……」
 神界のSSSランクの神三人を見て流石に驚きを隠せないようだ。
 俺も今でも信じられない。
「あれ、紫闇(シアン)じゃん」
「お久しぶりですわ」
「元気にしてますか?」
「ええ、もちろんです」
 そう言いながら優雅に一礼して近づいた。
 そこに白雲(シユク)さんがティーセットを持って登場した。
蒼氷(ソウヒ)殿の事を少し心配していたのですが、大丈夫そうですね」
「僕は全然大丈夫だよ」
 俺は白雲(シユク)さんを手伝って紅茶を入れた。
 白雲(シユク)さんはケーキを配っている。
「ではあとは――」
 ちらりと視線を俺に向ける紫闇(シアン)様。
緋燿(ヒヨウ)のことだけですね」
「それも大丈夫だよ」
 蒼氷(ソウヒ)が言い切った。
「ええ、私がみっちりしごいて差し上げます」
白雲(シユク)も手伝ってくれるって」
「まぁ、本当ですか?」
「ええ」
「はい」
 二人の返事に嬉しそうに微笑む紫闇(シアン)様。
「これで緋燿(ヒヨウ)も大丈夫そうですね」
 確かに、勉強の方は大丈夫かもしれないが……俺自身が大丈夫ではないかもしれない。
 この碧風(ヘキフ)様の勉強スケジュールのおかげでさらに多忙になったのだから――