
今日も
そんな自分を癒すためにも、休息は必要だ。
溜め息を吐きながら識者の館の外に出た。
識者の館の周囲には何もない。
見渡す限りの広大な土地は全て
なので周囲で何をしても問題はない。
それを利用してガーデニングをしている。
植物を見ていると癒される。
特にここには濃いメンツが多い。
ここは憩いの場だ。
最初は普通に花を植えていたのだが、ここ最近はもっぱら食べられる植物だ。
つまり、ガーデニングというよりは家庭菜園になっていた。
だが、それでもやる事は変わらないし、憩いの場であることに変わりはない。
日に一回はここを訪れるようにしている。
一つは水やりのためだ。
だが、
それはここが特異点であることに理由があるそうだが、詳しくは知らない。
原理は難しすぎて俺には到底理解できないだろうと言われたからだ。
そんなことを言われても腹は立たなかった。
俺ははっきりいって勉強が苦手だ。
実技は良くても理論は全く駄目だ。
そのせいで未だにBランクの死神なのだから……
だから理解できなくても仕方ない。
――が、
全く正論なので言い返せなかった……
俺がここにいる原因でもある。
「はぁ……」
俺は溜め息を吐きながらも良い感じに育った野菜を収穫する。
ここは植物の成長速度も尋常じゃない。
種を植えてから三日で芽が出て、十三日で花が咲き、十五日で実がなる。
ほぼ半月で野菜収穫だ。
そのため、熟した野菜は早々に収穫しておかないとあっと言う間に駄目になる。
食べれなくなる前に収穫して館の貯蔵庫に置いておく方が余程長持ちする。
貯蔵庫には時間を停滞させる陣がしいてあるからだ。
特異点の力は館にもかかるのでそうして置かないと食べ物がすぐに腐るらしい。
それを利用して酒が貯蔵されている地下室の方は何もせずにほったらかしだ。
そうしておけばあっと言う間に熟成される。
話を聞く限りでは、力のない物体ほど影響されやすいらしい。
具体的に言うと神には効かない。
まあそうでなければこんな所に住めないだろう。
そんなことを考えているうちに収穫は終了した。
後は明日に回しても平気だろう。
それよりも最近は人数も増えて来たしちょっと畑を広げようか迷っている。
広げて大変なのは自分だが、植えてほったらかしにしても半月で勝手に収穫できる状態になるので手間はそんなにない。
むしろ買いに行く方が余程手間だ。
…………今度買い物に行く時は野菜の種を買ってこよう。
俺はそんな事を思いながら識者の館に戻った。