
「あれ?
それはとても珍しいことだった。
「何故こんな所に?」
――というか、テラスで紅茶を飲んでいるのしか、見たことがない。
なのに今日は客間にいる。
珍しい。
珍しすぎる。
「今はちょっと近づけないんです」
「近づけない?」
テラスで何かやってるのか?
そう思って
テラスにいるということはないだろう。
では何故?
思い当たる節は全くない。
そう思っているのが通じたのか、
「今、テラスには
……何故その二人がいると近づけないのだろう?
ああ、もしかして――
「お二人に気を遣っていらっしゃるのですか」
そう思ったが、
「違いますよ」
……?
他に理由なんてある……か?
疑問符だらけの俺に
「
いや、
「見れば解るよ」
ちょっと行ってこっそり窺ってくればいいと
なので疑問を解決するためにテラスに向かうことにする。
その途中で
「
何気なく尋ねられたことに答える。
「ちょっとテラスに――」
そう言った瞬間、
「テラス? テラスに行くんですか?」
「え……ああ、そう、だけど――」
「あの……今はやめておいた方がいいと思いますよ?」
一体あそこで何が?
とても気になる。
なので、
…………
…………
…………
何故、二人があそこに近づけないと言ったのか、理由がわかった。
俺はまだ、
あそこまでとは――
はっきり言おう。
あそこは……今のテラスは……
別空間だった。
甘い空気の垂れ流し状態だ。
とても近づけない。
いや、近づきたくない。
あそこまで
ちょっと侮りすぎたのかもしれない。
これからは、あの二人が一緒にいる時は距離を取ることにしよう。
俺は心からそう誓った。