
「こんにちは、失礼いたします」
そう言って現れた彼が、識者の館に大混乱を招き寄せるとは、思ってもみなかった。
空色の髪をし、きちっと隙のない格好をした彼に見覚えは全くなかった。
そう思ってテラスのロッキングチェアでくつろいでいる
「誰?」
隣にいる
「始めまして。私は元管理局・采神を務めていた戒空と申します」
「元?」
微妙な言葉に引っかかりを覚える。
普通、一度その部署に配属されたら、変更されることはない。
何かない限り――
だが、素行が悪いようには全く見えない。
そして、政務官の最高位・采神をしているのだから成績が悪いわけでもなさそうだ。
――なら、何故?
それは
じっと彼を見ている。
「私は
その途端に露骨に嫌な顔をした。
「貴重な文献や歴史をまとめ管理する。資料の保管などを専門的に行う部署の設立を
それはずっと
「その部署の名は至言部=v
嫌そうな
「管理局の政務官を公務官と政務官にわけ、警務官と共に至言部に異動します」
それを聞いた途端、
「まさか……」
「はい。私の今現在の所属は至言部・史神……知識と生命の神・
史神というのはおそらく公務官の名前だろう。
そして
「すでに至言部の人材は異動の手配を済ませています」
「やられた!!」
ロッキングチェアから立ち上がり、空を見上げてそう叫んだ。
「外堀から埋めるなんて――!!」
「
至言部を創って部下を作り押し付けてしまえということなのだろう。
「これじゃあ――」
「統括神にならざるを得ないでしょう?」
遠くで
「これからよろしくお願いいたします」
悔しそうに
おそらく、もう逃げられないだろう。