
それを
だから俺は教学部と葬送部に行った。
俺が識者の館に戻って来ると、人だかりが出来ていた。
その中心にいるのは――
「
でも、生きている。
良かった。
無事だった。
その
癒しの光を受けて少しずつ、
「それにしても、まさか、
「ここ最近……嫌なことが続いていましたが……それが…………予兆だったのでしょうね……」
俺が出ていく時には霧の状態だった
「このまま手をこまねいていては、一万年前の二の舞か……それ以上に悪い状態になってしまうよ」
「それはわかっている。それを何とかするのかわらわたちの仕事じゃ」
「
「いやいや、うちにそんなこと言われても……重要な文献は大抵
「役に立たん男じゃ」
すっぱり言い捨てる
ん?
そう言えば……
「あの、
偉い神様がたくさんいるからすぐには気付かなかったが――
「そう言えば、おりませんね……
「わたくしに、
「馬鹿な!? あの禍々しい館に戻ったというのか!?」
俺達は邪気に当てられないように識者の館から大分離れた所にいる。
「何故止めなかったんだい?」
「あの、わたくしも止めたんですけど……とても、大事な物があるからと――」
取りに戻った?
そんな危険な……
「無謀じゃ」
「そうでもないよ……」
「
ふらふらと現れた
「こんなに邪気塗れになって――!」
「ごめ……とりに…………いってくれ…………たん……だ、よ…………ね」
「
「まさか!?」
それを聞いた
そして中を確認する。
「世界樹の……雫……――」
「いつ、これを?」
「一万年前には、確か……なかった」
「
「世界樹が?」
「そう、その時に、最後の力を使って雫を――」
その後、世界樹は役目を終えたかのように朽ちてしまったと――
世界樹の雫……それは一体?
「世界樹の雫は禍神の唯一の弱点なんです」
そんな俺の疑問に気づいたのか、
「でも、世界樹の雫はとても貴重なんです。これは世界樹の命そのものなんです」
だから、いつでもあるわけではないと――
「何度も現れる禍神を倒すためにあると便利なもの、それが世界樹の雫です」
過去、何度も世界樹の雫が使用されたらしい。
「でも、
世界樹から雫が取れるのは十数万年に一度だけ……
「
「壺にいっぱいだ」
「馬鹿な?! それじゃあ雫じゃない! そんなに出したら……まさか――」
「だから……世界樹は朽ちたのか――」
ぎゅっと世界樹の雫を抱きしめる。
「それがあるならきっと大丈夫だよ」
「
「うん。まぁ、禍神についての記述はほとんどないんだけどね。それでも全くないわけじゃない。世界樹の雫を使用した禍神の退治法は見た記憶があるよ」
「それは本当か!?」
「うん。うちもこんな所で冗談なんて言わないよ」
それは、禍神の復活した神界において唯一の希望だった。