
大変じゃないのだろうか?
俺は大変だ。
葬送部はここからかなり遠い。
制裁部も遠かった。
管理局なんて遥か彼方だ。
毎日大変じゃないのだろうか?
そう思って俺は尋ねた。
「毎日毎日ここから転生部に行くのは大変じゃないんですか?」
「いいえ、そんなことはありませんわ」
「転生部はここからそう遠くないからね」
「そうなのか?」
「ここの隣に執行部があります」
この敷地の隣は執行部だったのか……
「転生部はそのお隣ですわ」
「飛んでいけばすぐだよ」
「ふ〜ん……」
そうなのか……
俺は地理も苦手で覚えきれていない。
まぁ、基本的に自分の部署と管理局さえわかっていれば何の問題もないから良いんだろうが。
そんなことを話したという事も忘れかけたある日。
疲れていたのか、ノックをしても起きてこなかったのだ。
流石に女性の部屋に押し入ることなんて出来ないから外から呼びかけるしかない。
なんせここには
「ご、ごめんなさい〜」
慌てている
そこにノックが聞こえた。
出てみると、柔らかい雰囲気を持った男性が立っていた。
「こんにちは」
「……こんにちは」
徽章は星=B
Aランクの天神のようだ。
――ということは……
「
間違いなく、来ない上司を迎えに来たのだろう。
「そうですか。無理に急ぐ必要はないと伝えてくださいますか?」
「え? あ、はい」
「この所少し忙しくて、
そう言われて俺は
伝言を伝えると、
「ごめんなさい」
「ほら、部下の優しさに感謝して食事ぐらいしていきなよ」
「そうですね、でないと倒れてしまいますよ」
「う――」
迷っているようだ。
それはそうだろう。
部下を待たせているのだ。
「上がってもらいますね」
「そうしてあげて」
「どうぞ上がってください」
そう言うと、
「ありがとうございます」
礼儀正しく頭を下げて彼はついてきた。
「
「いいんです、
そう笑って言う彼に紅茶を用意する。
「さあ、ゆっくり食べてくださいね」
「はい」
それを微笑みながら見守る彼。
今までに会ったことのないタイプだった。