「さあ、今日も頑張りましょう!」
 そう言って指をビシっと立てた。
 碧風(ヘキフ)様に頑張られると辛いものがある。
 だが、今日は蒼氷(ソウヒ)も一緒だ。
「今日は僕がちょっと専門的なことも教えてあげるよ」
 だからしっかり聞くようにと釘を刺される。
蒼氷(ソウヒ)は昔からとても優秀でしたからね」
蒼氷(ソウヒ)が?」
「ええ。蒼氷(ソウヒ)はあまりにも優秀だったため、特例でSSSランクの昇格試験を受けたんですよ」
「特例?」
「SSSランクの昇格試験を受けられるのは50000歳以上からですが、蒼氷(ソウヒ)はそれより早く昇格試験を受けたんです」
 それは……
 俺とは全く正反対だ。
 ――というか、蒼氷(ソウヒ)は真面目だったんだろうか?
 今の姿からじゃとても想像できない。
蒼氷(ソウヒ)は小さい頃から博識で強くてとっても優秀だったんですよ」
「そんなこともあったねぇ……」
 でも蒼氷(ソウヒ)はあまり嬉しくなさそうだ。
「天才児ともてはやされてて鬱陶しそうにしてましたけど……」
 ……それが原因?
「昔は真面目な優等生だったんです!」
 本人より碧風(ヘキフ)様の方が誇らしそうだ。
 ちなみに本人は微妙な顔をしている。
 そう言われるのが嫌そうだ。
「もう、過去の話だよ」
 やはり、昔の話をされるのは嫌なのだろう。
「ほら、そんなくだらない話はいいから、今から僕が言う事を一言一句漏らすことなく書き記して」
 碧風(ヘキフ)様の話を無理やり打ち切り蒼氷(ソウヒ)はそう告げた。
 そして朗々と蒼氷(ソウヒ)は講義を開始した。
 蒼氷(ソウヒ)の手にはテキストはない。
 完全に頭の中に入っているのだろう。
 淀みなく告げられる言葉に感心する。

 ――が、あまりにもスラスラと話すものだからこっちは大変だ。
 なんでこんなに詳しいんだと思う。
 しかも、何の資料も持たずに自信満々に告げられる言葉に格の違いを思い知らされた。

 知識と生命の神と呼ばれる理由がわかった気がした。