夜曇(ヤクモ)を倒したおかげで蒼氷(ソウヒ)の力が回復しているらしい。
 前より若干背が伸びている。
蒼氷(ソウヒ)、元気か?」
「だいぶ調子がいいよ」
 そう言って笑う蒼氷(ソウヒ)は確かに元気そうだ。
「ところで、壊れた蒼氷(ソウヒ)の部屋はどうするんだ?」
 夜曇(ヤクモ)復活の際に蒼氷(ソウヒ)の部屋は見るも無残な状態になっている。
 そのため、今いるのは客間の一つだ。
「それは別に今のところ困ってないからいいよ」
 あっさりと言った。
「そうか……蒼氷(ソウヒ)の力が戻ったら別にここで大人しくじっとしている必要もないのか……」
 蒼氷(ソウヒ)がここから動けなかったのは夜曇(ヤクモ)を封印していたからだ。
 それがなければ別にここにいる必要もない。
「そうだね」
 それにしても――
蒼氷(ソウヒ)、前より髪の色素が薄くないか?」
 俺は首を捻った。
 確かに青い髪であることに変わりはないんだが……
「それは夜曇(ヤクモ)の封印のせいみたい」
 実害が全くないから気にしていなかったようだ。
「後で桜愛(ササネ)様がお見舞いに来ると言っていましたよ」
「じゃあそれまで少し休んでいようかな」
 蒼氷(ソウヒ)夜曇(ヤクモ)の呪縛から外れたので桜愛(ササネ)様は転生部に戻った。
 それは蒼氷(ソウヒ)の部屋が壊れたため、空きの部屋がなくなったことも一つの原因だ。
 だが、元気になってくれるのだからと、前より心配していないらしい。
 碧風(ヘキフ)様はまだここにいる。
 完全に元気になるまでは見届けたいらしい。

「早く元気になるといいですね」
「ありがとう」

 蒼氷(ソウヒ)は晴れ晴れとした表情で微笑んだ。