ふらふらと立ち上がり、俺は彼らが戦った場所に向かって飛ぶ。
 無事……なのだろうか?
 遠過ぎて俺にはわからなかった。
 でも、無事であると信じたい。
 そして周囲を見渡しながら探す。
 ――!!――
白雲(シユク)さん!!」
 俺は慌てて降りた。
 ボロボロだ。
「う……」
 でも息はある。
 周囲を見渡すと、地面に倒れている神様たち。

 全員、生きている。

 ただ、意識がないだけで――
 俺はどうやって彼らを運ぼうかと思案した――
「おい、無事か〜」
 後ろから柿雷(シライ)さんの声が聞こえた。
「良かった」
 一人ではさすがにどうにもならない。

 この後、全員を医局に運び込んだ。






 それから十日が経過した。
 まだ全員医局にいる。
 全員意識は戻っているが、大事をとって、とのことだ。
「ああ、ヒマ」
 ベッドの上でだらけている蒼氷(ソウヒ)
「そう言うな」
 あんなものを倒したんだ。
 ゆっくり休んでも誰も文句など言わない。
 剥き終ったリンゴを蒼氷(ソウヒ)に差し出す。
 それを遠慮なくバクバク食べる。
「終わったんだよな」
「そうだね。今のところは」
「今のところ?」
「そう……」
 悲しげに瞳を伏せる。
「禍神の力の源は人の負の感情……それがある限り、何度でもあれは復活する」
「でも、それじゃあ――」
「そう……あれはけして倒せない」
 人の心から負の感情がなくなることはない。
「だから過去、何度も禍神を倒してきた」
蒼氷(ソウヒ)……」
「それはこれからも何度も続いていくだろう」

 悪夢は終わらない……

「それでも、何度でも神はあれを倒していく。これからも、ね――」
 おかわり、と空の皿を差し出した。
 梨の皮を剥きながら思う。

 本当に恐ろしいのは人の心ではないか、と――