「僕は夜曇(ヤクモ)を封じるために力を使い果たした」
蒼氷(ソウヒ)の力は夜曇(ヤクモ)とともに封じられてしまったんです」
「だから今の僕は無力なんだよ」
 …………そうか……だから、神術がほとんど使えないのか――
 碧風(ヘキフ)様は以前、今の蒼氷(ソウヒ)には無理だと言った。
 その理由が――
「今の僕は夜曇(ヤクモ)と一心同体……力を失ったせいで僕の身長も縮んだしね」
「縮んだ?」
 今、物凄いことを聞いた気がする。
「そう。縮んだんだよ。夜曇(ヤクモ)の封印のせいで!」
「じゃ、じゃあ元は――」
「そうだね……元の緋燿(ヒヨウ)の身長ぐらいはあったよ」
蒼氷(ソウヒ)の身長は百七十ぐらいだったから」
 そ、そうなのか――
「でも、それでも若干低――」
「うるさいよ、碧風(ヘキフ)
 碧風(ヘキフ)様は百八十ぐらいあるからな……
 悔しいのだろうか?
「僕は夜曇(ヤクモ)を封印し続ける限り、ずっとこのまま…………力が回復することはない」
夜曇(ヤクモ)を…………蒼氷(ソウヒ)の有り余る神力で封じでいるんです」
「そして何の力もなくなった僕は断罪と執行の神≠ナあり続けることは出来ないと思った」
「周囲の人は皆止めたんですけどね……」
「だから当時SSランクの采神だった碧風(ヘキフ)に押し付けたんです」
碧風(ヘキフ)様って、粛神じゃなかったんですか?」
「ええ、違います」
「俺はてっきり――」
「他にやれる人がいなかったんです」
「そして僕は独り寂しく籠ろうと思っていたんですが――」
「当時、唯一残ったSSSランクの神を放置するわけにはいきませんでした」
「周りから物凄い言われたんだよね……」
 鬱陶しい――と、舌打ちしながら呟く。
「そして新しく役職が作られたんです。それが、知識と生命の神=v
「その後、管理局の連中が僕の特異性に目をつけて特異点に一つの館を建てた」
「――それが識者の館」
「そう。ここは僕と夜曇(ヤクモ)を閉じ込めておくための牢獄」
「――!!――」
 …………そ、蒼氷(ソウヒ)…………も…………
「これは仕方のないことだから……」
 蒼氷(ソウヒ)…………どうして…………
 ………………………………どうしてそんな風に――
 割り切れるのは……笑えるのは……やはり、権威のある神だからなのだろうか?
 俺では…………とても……………………笑えない。