
「昔……今から一万二千十六年ほど昔のことなんだけどね」
そう言って
それは俺が初めて聞く衝撃の事実だった。
「かつて、この世界を滅びの危機に陥れた存在がいた。
それが
黒い強靭な鱗に赤い角と牙、鋭い爪を持った巨大な竜……
その魔竜が現れたことにより世界は一瞬にして滅びの危機に直面した。
何人もの神が
悪戯に被害を拡大させただけだった……」
「禍神・
「神界に朝が来ないのは――――この禍神のせいなんだよ」
神界に朝は来ない……年中星が輝く夜……それは当たり前のことだと思っていた。
「昔は……違ったのか?」
「ちゃんと昼と夜が……昔は太陽が昇り青い空だって見ることが出来たんですよ。それも遠い昔のことですが――」
「
「当時、SSSランクの神で生き残ったのは…………生きているのは
「他の仲間は皆…………
「だから……金色の翼を持った神は――」
「そう……いないんですよ。金色の翼を持つことが出来るのは、生まれ持った資質によるところが大きいですからね」
「昔はもっとたくさん居たんだよ? 統括神はみんな金色の翼だった……」
「でも、今は――」
「そうです。今、神界で金色の翼を持っているのは四人だけです」
――四人…………
「――多大な犠牲を払っても
「
「そう……倒したわけじゃない…………今も…………
「倒したわけではないので、朝はやってこなかったんです」
「僕たちの力が及ばなかったばっかりに、神界に永遠の夜を与えてしまった……」
「平和になったわけではないんです。一時的に問題を先送りにしただけなんです」
「僕は封印の器……
「封印の……器?」
「
「――!?――」
「だから、先送りにしただけ」
「
それって確か統轄と徳性の神≠ニ叡智と武芸の神=c…
「神の寿命は資質によるところが大きいです…………そうですね……………………
「僕の年齢からいって残りの猶予は凡そ五万……」
「それまでに何とか出来なければ……」
「世界は終わりだね」
あっさりと言い放った。
「
「う〜ん……僕が禍神・
「なかなか禍神の退治の仕方って見つからないんですよ」
「あんなに本読んでるのに……遥か昔から何度も禍神と闘ってきたはずなのに……その記録の断片さえ見つからない」
「前回現れた時はおそらく倒せたんでしょうけど……」
「ん…………ちょっと待て……禍神は何度も現れたって言うのか!?」
「当然じゃない。禍神は人の負の心が集まって生まれたもの。人の心から負の感情が消えることはない」
「だから禍神も今仮に倒せたとしても何十万年も経てばまた新たな禍神が生まれてしまうんですよ」
「一生お付き合いして行かないといけない、まさに
「だから皆、
「僕にうっかり死なれたら困るからね」
俺は…………何も知らなかった……
人には言いたくないことの一つや二つあるはずだから……
そして
何も出来ずに……ただこの特異点で在り続ける……
それなのに、
最初はどうしようもない神様だと思ったけど――――
……………………でも、