
こんな狭い館だからどこにいてもすぐにわかるのだが……
そこで俺はテラスに行くことにした。
上から見ればわかるだろう。
そして……館のちょっと離れた所からじっとこちら……いや、館を見ている
何……してるんだ――?
わざわざ館の外になんか出て――
俺は気になったので翼を広げて飛び立った。
「あ、
あまり表情が優れない。
「どうかしたのか?」
「うん……あれ見て」
…………ど、どれを差してるんだ?
別に普段と変わったところは何もない。
「どれだ?」
「館の壁だよ」
「壁?」
そう言われて俺はじっくりと識者の館を見つめた。
別に変った所はない。ただ――
「そうだな……強いて言えば老朽化が進んでる……か――」
館の壁には所々に罅が入り、場所によっては欠けたりしている。それに壁の汚れも酷い。
「そう! そうなんだよ!!」
イヤな予感がした……
それも………………物凄く……………………――
「僕がここに来てから一度も何もしてないし……汚れも白壁だから物凄く目立つし……そもそも建物に罅が入ってるんだからなんとかしないといけないなって思ってたんだよ」
これは……もしかしなくても――
「だから
――やっぱり。
「僕が〈復元の光〉を使えたらわざわざ
……そう言えば……
使わないんじゃなくて使えない……?
でも
出来ないことなんてない……よなぁ?
ん…………待て……
「し…………
「当り前じゃない。確かに識者の館は狭いけど一人でやるのは大変だよ。だから
「ちょ――」
「じゃあ言ってくるね」
言うが早いか、あっと言う間に、声をかける間もなく飛び去って行く
そして次の日。
俺は
案の定、足をたくさんひっぱってくださった。
ペンキを床にぶちまけたりは当たり前。
悪気の一切ないあの態度を見ていると怒る気にもなれない。
壁の修繕は二週間もかけてやっと終わった。
もうカンベンして欲しい……