
「よっ」
そう言って識者の館に現れたのは
「お久しぶりです」
「
「はい」
「今日は
なるほど……
「それは、ご苦労様です。でも――」
「どうかしたのか?」
さしたる変化はないのだと、直接言うのは憚られた。
だが、館に響き渡る破壊音が何も言わなくとも、現状を雄弁に語っていた。
「
「はい。間違いなく」
この館では哀しいことにあんな音を立てる人物は一人しかいない。
そして現状を確認すべく、音のした場所に向かう。
今日はサルーンだ。
本棚が綺麗に倒れていた。
それを見た俺は安心した。
良かった。
今日はそれほど被害が出なかった。
そんなことを思っているのが筒抜けだったのか、
「まさか、これでもマシな方なのか?」
「はい」
それを聞いた
「これじゃあ……制裁部にいた時となんら変わってないんだが……」
そう簡単に変われたら苦労はしないだろう。
「うわぁ、今日も盛大に倒したね」
「うう、
「ま、別にいいけど」
「本は落ちても壊れないですからね〜」
あの二人はいつも暢気だ。
だが、
「なあ、
「叱らないけど? いつものことだし」
「
それは簡単に思い浮かべることができた。
「
そう言われて普段の二人の行動を思い浮かべる。
そして気付く。
「…………
「何!?」
思い出してみるとそうだ。
身長の事を言われるとかなり機嫌が悪くなるが……しばらくすれば機嫌も治る。
俺の勉強の出来が悪くても、
咎人関連では愚痴が多くなり、機嫌が悪そうだが……別にあたられることはない。
怒っていることはあるが、それは主に
失敗して怒ることは……ない。
それを
「
そうしみじみと言われた。