「こんにちは」
 朝一番、土茶(ツツサ)さんがやって来た。
「こんにちは、土茶(ツツサ)さん」
桜愛(ササネ)様がいつもお世話になっています」
 そう言って手土産を渡される。
 どうやら紅茶のようだ。

「お邪魔します」

 開いている扉から藍水(アイナ)さんが顔を出した。
「こんにちは」
 後ろには光黄(ミツキ)さんもいる。
「いつもあのちゃらんぽらんな上司が迷惑をかける」
 そういって有名洋菓子店の箱を渡される。
 おそらく中身はケーキだろう。
「いえ、迷惑をかけているのはむしろ俺の方です」
 主に勉強で――
 そう言いながら奥に案内しようとすると――

「失礼します」

 今度は銀生(カネユ)様が書類と共にやって来た。
蒼氷(ソウヒ)様に重要案件の書類です。蒼氷(ソウヒ)様は会議にご出席なさらないので」
 そう言えば……この前の会議は碧風(ヘキフ)(ヘキフ)様と共にすっぽかしていた。
「も、申し訳ありません――」
 絶対に、イヤ! と言い張る蒼氷(ソウヒ)を連れて行く事は俺には無理だった。

「邪魔するぞ」

 ……今日はやけに客が多い。
 今度は黒穢(クロエ)様だ。
 後ろに柿雷(シライ)さんと灰利(ハイリ)さんがいる。
白雲(シユク)の様子を見に来たぞ」
 ああ、なるほど。
 全く進歩のないことはこの前柿雷(シライ)さんに報告したが……自分で確認したいのだろう。

「失礼いたします」

 そしてさらに現れたのは紫闇(シアン)様だった。
紫闇(シアン)様」
「元気にしていますか? 緋燿(ヒヨウ)
「はい」
 エントランスホールはすでにいっぱいいっぱいだ。

「今日は随分と客が多いね」

 中から蒼氷(ソウヒ)碧風(ヘキフ)(ヘキフ)様、桜愛(ササネ)様がやって来た。
 白雲(シユク)さんの姿はない。
 
 なんか、とっても嫌な予感がした。
 
 まさか……キッチンに…………?
「人がいっぱいいるみたいだし……お茶にしようか。緋燿(ヒヨウ)、テラスに椅子を用意して、お茶よろしく」
「はい」
「今、白雲(シユク)がいるけど……頑張ってね」

 …………

 嫌な予感は当たった。
 そして大変に疲れる一日になることは確定した。