神界の空が青くなった。

「初めて見た」

 俺が生まれた時には、すでに空は黒一色だった。
 朝焼けも、夕焼けも、青い空も、人間界のものでしかなかった。
 だから、初めてだった。
 この神界で見る空は、人間界のものとは違って見える。

「青い空もいいものでしょ?」

「ああ、そうだな」
 笑って返事をした。
 そう、とても良かった。
蒼氷(ソウヒ)も、力は戻ったのか?」
「勿論!」
 ビシっと指を立てた。
「この力が充ち溢れる感覚――久しぶりだ」
 凄く嬉しそうだ。
 それはそうか……
 ずっと不自由な生活を強いられてきたのだから――
「これからはまたSSSランクの神が生まれるだろうね」
 …………は?
「な、なんでだ?」
夜曇(ヤクモ)のせいで神界の空気が悪かったんだよ。そのせいで力のある神が生まれにくくなった」
 へ、へぇ……
「夜の闇に覆われていた一万二千年の間に生まれた神の中にSSSランクはいない」
「でも、それ以前に生まれていて年齢が達したものはなれるよな?」
「うん。なれるよ。候補は何人かいるしね」
「また昔のように統括神は全員SSSランクになるのか?」
「そうなるだろうね」

 蒼氷(ソウヒ)は楽しそうに笑っていた。