蒼氷(ソウヒ)桜愛(ササネ)様が仲良くお茶をしている。
 勿論、碧風(ヘキフ)様は一緒にいない。
 二人の間に入ってあてられるのはまっぴらゴメンのようだ。
 それも当然だろう。

 俺だって嫌だ。

 基本的に空気を読めない白雲(シユク)さんでさえ近づかない。
 白雲(シユク)さんの場合、気を遣っているのか、空気が甘ったるくて嫌なのかわからないが……
 そんな俺達三人はテラスにいる二人に近づかないようにサルーンにいる。

「そういえば、聞きましたか?」
「何をです?」
 他愛のない話をしていると、唐突に碧風(ヘキフ)様が言った。
「とうとう蒼氷(ソウヒ)が身を固める決意をしたって」
「それはおめでたいですね」
「そうか……そういえば、婚約止まりだったのって蒼氷(ソウヒ)の体調のせいだったんだろう?」
「そうです。だから、もう断る理由が無くなったんですよ」
 確かにおめでたい話だ。
 だが――

「それって、ますますテラスに近づけないんじゃ――」

「当り前です」
 碧風(ヘキフ)様が肩を竦めた。
「何か祝いの品を贈るべきでしょうか?」
「ああ、そうだな。日頃世話になってるし――」
「何がいいでしょう?」
蒼氷(ソウヒ)は酒でいいとして、問題は桜愛(ササネ)様だな」
桜愛(ササネ)かぁ……何を贈っても喜んでくれると思うけどね」
「それって逆に難しいですよね」
 確かに……
「手元に残らないものの方がいいのか?」
「食べ物とか?」
「花とかですか?」
「そんな感じの……」

 こうして俺達三人は二人に贈るプレゼントに頭を悩ませることになる。