
しかも、物凄く飲むので量もたくさん買わないといけない。
少しは自重して欲しい所だが、言っても聞かないだろう。
それは短い付き合いでも十分分かった。
今日も……いや、いつも
重くてかなわない。
「はぁ……」
そろそろ帰るか――
帰ったら掃除して料理作って夜のティーターム用にワインと酒のつまみを用意して――――昼のティータイムはちゃんと紅茶なのに夜のティータイムはティータイムとは名ばかりで酒しか飲まないからな。
なんで夜にもティータイムがあるのかが不明だが……
しかも俺はあの人が酔っているのを一度も見たことがない。
あんなにバカバカ飲んでいるというのに……
どんだけ酒に強いんだよ……
ああ、帰ってからもやる事がたくさんある……
疲れているというのに…………本当にあの人は手加減というものを知らない。
少しぐらい労わってくれてもいいだろうと思うが、ああいう性格の人に何を言っても無駄だろう。
そう思い荷物を持ちなおすともう夕方だった。
「もう夕方か……」
帰ろう……
そう思って踵をかえした時、見覚えのある後姿が目に入ってきた。
「あれは……」
紫色の長い髪が風に靡いている。
そして銀色の翼――
「珍しいな……
一責任者である
俺は迷わず声を掛けた。
「
「……
俺は重い荷物を持って近くに行く。
「久しぶりですね、
「はい」
「元気にしていますか?」
「――――はい」
物凄くこき使われていますが、今はまだ健康を損ねることなく生活しています。
「
そんなに偉い人にはまるで見えないです。
「ふふ……」
そう思っていたのが顔に出たのか
「とても尊いお方です。わたくし達はあのお方のおかげで平穏に暮らしていけるのです」
あれが…………そんなことしているのか?
思い浮かぶのは我侭言い放題のあの上司。
「はぁ……」
ため息が出る。
俺は気を取り直して
「
「夕日を見に――」
「神界では見ることが出来ませんから」
確かに、神界はいつでも夜だ。
日が当たっているのなんて見たことがない。
少なくとも、俺は生まれてこの方見たことない。
「昔は……地上と変わらなかったのです」
初めて聞いた。
「夕日を見ていると物悲しくなりますね」
少し悲しそうだ。
いろいろ思い出しているのだろうか……?
俺ももうすぐ沈みきる夕日を見た。
毎日こき使われている自分。
なんだかちょっと…………いや、ちょっと所ではない、かなり悲しい気分になってきた。
「そろそろ帰ります」
上司が待っているので――
「そうですか、頑張ってくださいね」
「はい」
俺は重い荷物を持って識者の館に帰った。