相変わらず白雲(シユク)さんのドジっぷりは凄い。
 この前は食器棚に激突して食器棚ごとぶっ倒してくれた。
 碧風(ヘキフ)様のおかげで全て直ったが、碧風(ヘキフ)様がいなかったら今頃俺は食器の買い出しに追われていたことだろう。
 でも白雲(シユク)さんには余り強く言えない。
 頑張られても空回りするだけだし……
 そんな白雲(シユク)さんを蒼氷(ソウヒ)碧風(ヘキフ)様は温かい目で見守っている。
 俺はここに来てから結構経つが、蒼氷(ソウヒ)白雲(シユク)さんに対して怒っているのをただの一度も見たことがない。
 どんなことをしても笑って済ませてしまうのだ……
 俺との扱いの差に泣けてくる。
 今日も今日とて白雲(シユク)さんの作った朝食のおかげでかなり調子が悪い。
 気絶しなかった自分を褒めてあげたい。
 ホント、他のことには目を瞑るからあの料理だけは何とかしてもらいたい。
 でなければ俺の命にかかわる。
 イヤ、ホントに……
 でも、あの二人は白雲(シユク)さんの料理を平然と食す事が出来るため、全く注意してくれない。
 自分には害がないためスルーだ。
 これはあんまりだ。
 今も白雲(シユク)さん曰くクッキーを平然と食べている。
 見た目は真っ黒くて炭のようだ。
 とても食べ物には見えない。
 何故、二人はこうも無頓着なのか……
 どうして白雲(シユク)さんに注意してくれないんだ。
 そう思い、ついに二人に聞いてみることにした。
「なんで二人は白雲(シユク)さんの料理を注意してくれないんですか」
 それを聞いた蒼氷(ソウヒ)は――
「う〜ん……あれは注意してもなおらないと思うけど?」
「そうですね。あれは本人の体質みたいなものですからね」
 そ、それは――
「同じ材料で同じように作っても緋燿(ヒヨウ)にあれは作れないでしょ?」
 炭になるかはともかく、確かにあんな毒物、無害な食料からは作れない。
「う〜ん。それに別にあまりたいしたことないから僕的にはいいかなって」
 たいしたことない? あれが!?
 そりゃあ確かに蒼氷(ソウヒ)はたいしたことないだろうけど俺にとってはたいした事なんだよ。
蒼氷(ソウヒ)はたとえ自分に害があっても全く気にしないよね」
「うん」
 …………ちょっとおかしくないか?
 蒼氷(ソウヒ)はたとえ自分がぶっ倒れてもかまわないと思っているのか?
 …………いるのかもしれないな――
「私が彼に注意しないのはただ楽しいから、です」
 俺は碧風(ヘキフ)様の言葉に硬まることになる。
「だって、人を苛めるのって結構楽しいですよ」
 駄目だこの人――
 前から結構イイ性格してるとは思ってたけど……
 この人かなりのドSだ……
 人を苛めて楽しむなんて趣味が悪すぎる……
 さすが蒼氷(ソウヒ)の幼馴染……
 ホンキで泣きたくなって来た。
 孤立無援って、こういうことを言うんだな……