
コンコン……
控え目なノックが聞こえた。
誰か来たのか?
こんな所でも
あんなんでも偉い神様だ。
「はい、今開けまーす」
そして扉を開けると、一人の少女がいた。
……見覚えがある。
灰色の長い髪……
そう……確か制裁部の……――
凄い剣幕で叱られていた、
「――
「はい、そうです」
遠路はるばる何の用だ?
「
その言葉にキョトンとする少女。
「
首をかしげる。
「誰ですか?」
……………………
「し、知らないのか?」
「はいです」
つ…………ツワモノだ……
い、いや…………だが……
ここでその辺の神なら何も言うまい。
だが、相手は
知識と生命の神、
…………知らないでは済まされないだろう。
この子、大丈夫か?
いろんな意味で心配だ。
「じゃあ、何をしに……」
「
な、なるほど……
確かにそれなら納得がいく。
しかも、俺と違ってSランク……
書類も来るだろう……
だが、俺はこのまま彼女を通すわけにはいかなかった。
はっきり言おう。
このまま彼女を通すのはまずいのだ。
何がまずいかって……
それは勿論……
だが、それで変な行動を取りでもしたら……
うっかり上司に知れたら大変だ。
それに今ここには……もう一人いる。
そう…………断罪と執行の神、
あの人も多分…………何を言われても気にしないだろう。
だが、本人が気にしなくても周りは気にする。
とりあえず俺は彼女の手を引いて端による。
「
「ん? なんですか?」
「
俺は敢えて様を付けた。
ここでは言わないが、外に出ている時にいつもやっていることだ。
俺が最高位の神にタメ口……外では流石にまずいからだ。
「え? はい、知っています。
良かった。
一応知っていてくれた。
俺は安堵した。
知らないと言われたらどうしようかと思った……
「ここはその知識と生命の神、
「ふえ?」
「ちなみに、その幼馴染である断罪と執行の神、
「…………」
ピシリと硬まる
「あまり……ああ……無礼な態度をとってもあの二人には怒られないけど、お前の上司には怒られるだろうから!」
気を付けた方がいい。
俺はそう言った。
「う、ううう…………」
肩が小刻みに震えている。
「こんな所に偉大な神様たちがいるのですか? ボク……ボク…………」
「は、
「どうしよう? またいろいろやってしまったら! 今度こそ……」
……………………おそらく、彼女は
だとしたら…………やってしまうであろうことは容易に想像が出来た。
「あー…………頑張れ」
いろいろ思うところはあったが、あいにく、上手い言葉が見つからなかった。
そして
間の悪いことにその場には
がちがちに固まっている
大丈夫ではなさそうだ。
「
彼女は何も言えなさそうなので俺が変わりに言った。
「あ、そうなんですか?」
だが、
「僕たちはいつものようにテラスでお茶にするよ」
「用意してもらえますか?
――気を遣ったのか、避難することしたようだ。
俺は頷いて準備を始めた。
確かに、このままこの二人がここにいたら
そしてテラスに紅茶を届けると、キッパリと死刑宣告をされた。
「二人が何かしでかすといけないから、手伝ってあげてね」
そう……実際は違うが、死刑宣告と同義だった。
俺はたかが書類一枚でも馬鹿に出来ない事を悟った。
二人は…………凄い……
…………ちょっとついていけなかった……
ちょっと今日もボロボロだ。
ドジ×二人は最凶であることを悟った。