
むしろ本を手に持っていない時の方が少ない。
ここでは他にすることなんてないんだからしょうがないのかもしれないが……
本を読んでない時は
それ以外の時間は読書。
いつでも本を持っている
地下にある書庫は物凄く広い。
初めて入った時は物凄く驚いたものだ。
教学部にある大叡図書館のように綺麗に整備された書庫。
蔵書の量も半端なかった。
この識者の館はまさに氷山の一角といった感じだった。
地上部分よりも地下部分の方が広い。
つまり、書庫の方が遥かに広かった……
これ…………いっぱいになったらどうするんだ?
――と、いうかもう限界なんじゃ……
その辺に書物が無造作に積まれてるし……
「
「ん? 何?」
「その辺に置いてある書物、片づけなくていいのか?」
「ああ、これ?」
「放置しておくと
「あ〜……そうだね」
「それに、中には貴重なものもあるんじゃないのか?」
「これ? ないよ」
「流石の僕も貴重な文献をこんな所に放置したりしないよ」
「そうなのか?」
「うん。ここに置いてあるのはなくなっても困らないものだよ」
いや、それでも……
「誰かに読まれたりなくされて困る物はちゃんと保管してるから大丈夫」
「――でも、もう書庫いっぱいじゃないのか?」
「いっぱい? そんなことないよ」
「は? でも……」
「ああ、
――まだ何か仕掛けでもしてあるのか……?
「あの書庫第三階層まであってね、
…………はっ?
「あれだけじゃないのか!?」
「当り前じゃない」
「……………………」
あ……あんなにあるのに――
「一体どれだけ書物あるんだよ……」
「え? ああ〜……………………大叡図書館より多いと思うけど――?」
「そ……そんなに!?」
「うん」
…………この館の下にはどれだけの書物が眠っているというんだ?
――つーか、大叡図書館より多いって……
この識者の館は俺が思っている以上に謎が多いようだ……