今日も勉強会。
 あれから毎日勉強詰めだ。
 勿論、俺を次の昇格試験で合格させるため――俺のためだ。
 そのため、何も言えない。

 今日は碧風(ヘキフ)様、白雲(シユク)さん以外に、偶然来ていた柿雷(シライ)さんと藍水(アイナ)さんも巻き込んだ。
 お願いしたのは当然、蒼氷(ソウヒ)だ。
 蒼氷(ソウヒ)に言われたら断れないのか、二人はあっさりオッケーしてくれた。

 だが、ちょっと泣きたい気分になった。

 柿雷(シライ)さんはそうでもない……
 問題は藍水(アイナ)さんだ。
 藍水(アイナ)さんは厳しそうな性格をしているとは思っていたが、予想以上だった。
 これは碧風(ヘキフ)様の次に厳しい。
 柿雷(シライ)さんは白雲(シユク)さんと同じようにゆったり教えてくれる。
 二人はそうはいかない。

 そして、蒼氷(ソウヒ)もなかなか厳しい講義をするようになった。

 昇格試験に間に合わせなきゃいけないからね、と笑顔で言った。
 その笑顔はちょっと黒かった。

 そして休憩時間などほとんどない勉強会が朝から夜まで続いた。




「お疲れ様です」
 そう言って白雲(シユク)さんが紅茶を手渡してくれた。
 俺はそれを受け取るが、飲もうという気にはなれない。
 これを飲んだら止めを刺されそうだ。
 本人に悪気は全くなくとも――

緋燿(ヒヨウ)、明日も今日と同じように頑張るよ」

 片手にワイングラスを持った蒼氷(ソウヒ)がさっくりとそう言い放って消えた。
 俺はテーブルに突っ伏した。

 もう寝よう……寝なければ…………でなければ、明日持たない……
 その日、俺は泥のように眠った。