今日も偉い神様が集まってテラスでお茶会だ。
 別に悪いとは言っていない。
 トンデモないことを言い出されるよりはお茶をしていてくれた方が楽だ。
 それに碧風(ヘキフ)様がお茶をしている間は俺も休憩だ。
 それは何より大事だ。
 これがなければ俺は死んでしまうと思うくらいにはスパルタだからだ。
 あの豹変っぷりには驚きだ。
 そんな事を思いながら白雲(シユク)さんと一緒に茶菓子を配っていた。
「そう言えば皆様は子供のころ何になりたかったのですか?」
 桜愛(ササネ)様が話題に出したのは意外な一言だった。
 子供の頃……
「僕は小さい頃はあらゆる知識が欲しかったね」
蒼氷(ソウヒ)は昔から本を読みあさってましたからね」
 そして現状を考える。
 おおむね叶っていそうだ。
 だが、物凄く不満そうな顔をした。
「……別に偉くなりたかったわけじゃないんだけど」
 そこが不満な点のようだ。
「知識を吸収して普通に暮らしていたのにいつの間にか執行部のトップになってたんだよね?」
「くっ……僕は平凡ないち政務官を目指していたのに――」
 政務官……?
蒼氷(ソウヒ)って……采神から断罪と執行の神になったのか?」
「そうだよ」
「確か碧風(ヘキフ)様も……」
「はい、私もそうです」
「……よくあることなのか?」
「異例だよ」
「普通は公務官を部のトップにしますからね」
「トップになんかなりたくないから政務官を選んだのに――!!」
 舌打ちが聞こえてきた気がした。
「私もトップなんて面倒なことなんてやりたくなかったんです」
 碧風(ヘキフ)様も力説した。
「私は楽しければそれでよかったのに――」
 なんとも……いや、らしいというべきか――
桜愛(ササネ)は?」
「わたくしは誰かのお嫁さんになることです」
 可愛らしい人だとは思っていたが、ここまでとは――
 驚きだ。
白雲(シユク)は?」
「ボクは昔からドジだったので……何かをちゃんと出来るようになりたかったです」
 それは夢……なのか?
白雲(シユク)は頑張り屋さんだからね〜」
「きっと大丈夫ですよ」
緋燿(ヒヨウ)は?」
「俺は……」
 何かあっただろうか?
 考え込んでいた俺に蒼氷(ソウヒ)が言った。
「忘れてしまった? 日々の忙しさのせいで?」
「それは……」
「何もなかったはずはないよね? だって、貴方は死神≠やっているんだから」
「――!!――」
「公務官になる者は大抵何かしらの夢があるしね」
「そうですね……公務官は職務が大変なので普通に働きたい場合は武芸に秀でていれば警務官、そうでなければ政務官になりますからね」
 確かにそうだ。
 俺は…………どうして――
「本当になりたかったのなら……思い出す日がくるよ」
「……………………そう……だな――」
 そうであれば、いい――