蒼氷(ソウヒ)が世界樹を見つめている。
 何だかとても嬉しそうだ。

「どうかしたのか?」

 そう尋ねると凄く良い笑顔を返された。
「ほれ、これ」
 世界樹にそっと指を差した。
「ん?」
 近づいてその場所をじっと見る。
「これって……」
「そう! 世界樹が持ち直したんだ」
 世界樹は蒼氷(ソウヒ)に希望を託し、朽ちるような形で、かろうじで息がある状態だった。

 その世界樹に……芽が出ていた。

 それはとても小さな芽だ。
 だが、この芽はいずれ大きく育ち立派な世界樹になるだろう。
 蒼氷(ソウヒ)はそれがわかったからこそ、嬉しいのだろう。

「この子が立派になるのが楽しみだよ」

 蒼氷(ソウヒ)はこれからもここで住む気なのだろうか?
 そしてこの小さな世界樹を見守り続ける気なのだろうか?
 ……蒼氷(ソウヒ)ならやりかねない。

 でも、それでもいいのだと思う。
 蒼氷(ソウヒ)に嵌められていた枷はもうない。
 何をするのも自由なのだから。

 そう思いながら、嬉しそうに世界樹を見つめている蒼氷(ソウヒ)を眺めていた。