ふぅ……今日も一日ハードワークだったな……
 死神の仕事と蒼氷(ソウヒ)の世話は疲れるな……
 そう思いながらリビングに入ると――
 …………ダンボールが大量に積んであった。
 これは一体……――?
「あ、緋燿(ヒヨウ)。手伝ってください」
 そう言って白雲(シユク)さんが駆け寄って来た。
「あの……これは?」
「書物です」
「は? なんで? 書物は直接書庫に届くんじゃないのか?」
「これは店に発注したものじゃないからね」
「管理局から送られて来た物なんです」
 蒼氷(ソウヒ)碧風(ヘキフ)様も部屋に入って来た。
「これはとっっっっっっっても貴重な文献だから何かあったら許されないから」
「な……なんでそんな物が管理局から?」
「ここは…………識者の館は貴重な文献の保管庫でもあるからね」
「大叡図書館に保管しないのか?」
 あんな立派な図書館があるのに――
「あそこは一般の人が利用する一般向けの図書館」
「ここに運ばれてくるのは一筋縄ではいかないようなものばかりですよ」
「うっかり扱い方を間違えるとまづいことになっちゃうから気を付けてね」
 …………なんてものだ――
「ダンボールに入れたままでいいから白雲(シユク)と一緒に持って来て」
 そう言って蒼氷(ソウヒ)碧風(ヘキフ)様と一緒にダンボールを持ち上げた。
 俺も白雲(シユク)さんと一緒にダンボールを運ぶ。
 紙ってメチャメチャ重いよな……
 そう思いながら地下にある書庫まで運んだ。




 地下一階。
 書庫の奥に行くと床に術式の施されている場所があり、光っていた。
「これは――」
「これが下の階層に行くための陣。二人は危ないからここまでで良いよ。その代わりに残りのダンボールも全部ここに運んで来て。後は僕たちがやるから」
「そんなに物騒なものなのか?」
「う〜ん……これはね〜…………世界の記憶なんだよ」
「世界の記憶?」
「本の形をしていますが、これは記憶なんです」
「触れただけで世界に実際に会った出来事が頭の中に流れ込んできたりするんだよ」
「だから耐性がないと倒れます」
「だから、緋燿(ヒヨウ)白雲(シユク)には無理」
「膨大な知識は時に人を壊してしまうほどの力を持っています。これに触れても大丈夫なのはSSランク以上の神様だけです。ボクのようなSランクの神ですら駄目なので、緋燿(ヒヨウ)にはキツイかもしれません」
 俺は思わず後ずさった。
「なんでそんな物がここに送りつけられて来るんだ?」
「それは勿論、管理が難しいからだよ」
「大叡図書館では管理できる人材がいないんです。その点、蒼氷(ソウヒ)なら大丈夫ですから」
 思っていた以上にこの書庫はいろいろヤバいようだ。
 あまり近寄りたくなくなって来た……
 ――というか、このダンボールを運ぶのでさえ怖くなって来た……