
「
物凄い形相をした
「いい加減にしてよ!」
あんなに怒っている
いや、
「
そんな
「もう良いでしょう? いい加減に、前を向いて歩いた方が良いんじゃないですか?」
「それ……は――」
「確かに、今の
うわっ……すげぇ事をきっぱりと言い放ったよ。この方は――
「………………悪かったね。無能で」
ああ、やっぱり怒ってる。静かに怒ってる。
「でも、それは
「…………」
一体……何の話なんだ?
昔、何かあったのか?
「
二人の話に全く付いていけない。
「私達は貴方に……全てを押し付けてしまった……そのせいで貴方は――」
ごめんなさいと謝る
「――――後悔……していますか?」
「
「ああした事を、後悔していますか?」
それに対して
「僕は後悔なんて一度もしてはいないよ」
「なら――」
「でも! ほとんど神力を失った僕に居場所はないと思った」
「それは――」
「それでも僕の存在がこの特異点にとって必要だった。それがせめてもの救いだった」
「
「金色の翼を持っていても、今の僕は黒翼にも劣ってしまうような微々たる力しか持っていない」
――!?――
それはどういう……
「少し力を使っただけでぶっ倒れる――
「それは――」
「でも、あれで良かったとは、ちゃんと思ってるんだよ? だって、あれ以上たくさんの人が死ぬことになっていたらと思うと……凄く嫌だからね」
「でも、それでも、私たちも手伝う事が出来たら……」
「そうだね。そう出来ていたら、結果は違っていたかもしれない。でも、無理だった。皆あれに近づくことさえ出来なかった」
「それでも! 魔竜を封じるために……
なんか…………おいてけぼりをくらっている。
「全く」
「
それに怪訝な顔をする
「後悔しているのは僕? 違うでしょ。後悔しているのは
「――!!――」
ハッとする
「――……そう…………ですね。
はい、そうです。
ずっと…………ずっと後悔していたのは……………………ずっと罪悪感に苛まれていたのは…………私の方です――」
「僕は誰も恨んでいないよ」
「――私も……あの時……SSSランクの神であったなら……同じように力があったなら…………
――……俺から見て、より辛そうなのは
自分の無力を責め、嘆いている。
「……ふぅ」
溜め息を吐いて
「ここまで聞かれちゃったら話すしかないよね」
確かに意味不明な単語の羅列で物凄く気にはなるが……
「いいのか?」
「いいよ。
「あの事件には緘口令が敷かれましたからね。あの事件の事を口にする者はいません」
なるほど……道理で知らないはずだ。おそらく、その事件があった時、俺は生まれていない。
そんな大事件があったらさすがにわかるはずだ。
「でも、緘口令が敷かれてるんだろ? 話していいのか?」
それ話したら罰せられるんだよな。
――…………ん? 罰せ――
そこで俺は気づいた。
それを罰するのは断罪と執行の神である
「気づいた?
僕と――」
「私を罰せられる存在なんていません」
――…………やっぱり。
「だから心配しなくても平気だよ」
そう言いきった
やはり、この権力者たちには逆らわない方が賢明だと、俺は再認識した。