管理局から厳重封印のされた荷物が届いた。
 それを見た蒼氷(ソウヒ)は難しい顔をした。
蒼氷(ソウヒ)?」
 どうかしたのだろうか?
 確かにいつもとは違うタイプの荷物だが……
 こんなに封印の札の貼られた荷物を見るのは初めてだ。
「ああこれは――」
 碧風(ヘキフ)様がやって来て荷物を見た途端納得する。
「またですか」
「まただよ」
 二人にとってはそれで通じるらしい。
「これは呪いの文献ですよ」
「呪い!?」
 なんでそんなものが――
 俺はそう顔に出してしまったのか、碧風(ヘキフ)様が答えてくれた。
「この呪われた文献はなかなか処理できる神がいないんですよ」
「処理? 処分するのか?」
「いえ、浄化するんです」
「浄化って――」
「このように呪われている書物は古く歴史あるものが多いんです。
 書物は長い時間の間に、禍神の影響を受けて呪われてしまったりするんです」
 なるほど、最初から呪われているわけではないのか……
「呪われてしまう書物は貴重なものが多いので処分はなるべくしたくないんですよ」
 でも、浄化及び封印出来る神がほとんどいないらしい。
「だからといってその辺に置いておくわけにもいきません」
「要するに、扱いに困って僕の所に押し付けて来るんだよ」

 身も蓋もない。

「でも僕も今の状態じゃこれの処理なんてとてもできないよ」
「ですよね」
 気楽に言うが、大事ではないだろうか?
「しょうがないからまた地下室に押し込んでおこう」
「そうですね」
 そう返事をするとその封印の札の貼られた荷物を碧風(ヘキフ)様が持ち上げた。
 俺にやらせないのは、俺ではその書物を置いてある場所まで行けないからだろう。
 でなければ、容赦なく持てと言ってくるはずだ。
「そうそう、緋燿(ヒヨウ)は近づかない方がいいよ」
「危ないから?」
「うん。中てられるかもしれない」
「……封印してあるけど?」
「こんなの形ばかりだよ。僕みたいに高ランクに神ならこれでも影響ないけど、緋燿(ヒヨウ)だと中てられる可能性がある」

 俺は思わず一歩引いた。

「特に性質の悪いのだとこんなの気休めにもならなかったりするしね」
 そう言って二人は書庫に向かった。
 多分、相当深い階層に置いてくるのだろう。