「後はここだけだな」
 今は掃除をしている。
 これが終わったら勉強だな。
 そしてその後夕食の用意をしないと――
 そう思って本棚に手をかけた瞬間――
 ゴンッ!!
「――!?――」
 俺は蹲った。
 あ……頭に…………何か、硬い物が……――
 あまりの衝撃に意識を飛ばしかけながらも俺は横を向いた。
「アルバム……?」
 そう思って手に取って中を開くと、そこには小さい頃の蒼氷(ソウヒ)碧風(ヘキフ)様が写っていた。
 因みに蒼氷(ソウヒ)の姿は今と然程変わらない。
 二人とも黒色の翼を持っているため、かなり若いころの写真だろう。
 だが、その姿は異様だ。
「……何故に猫耳?」
 二人の頭についているのは明らかに猫耳。
 猫しっぽまで付いている。
「この仮装は一体……」
「なっつかしー」
「ホント、懐かしいですね」
 ばっと振り向くと蒼氷(ソウヒ)碧風(ヘキフ)様がニコニコしながら覗き込んでいる。
 そしてアルバムを奪うと懐かしそうに眼を細めてあーだこーだと言っている。
「あ、あの……その猫耳写真は一体……」
「ああ、これ? これは――なんだっけ?」
「確か新年会の時の写真です」
「ああ、そうだ」
 新年会?
 一体何をやったのだろうか?
「可愛いでしょ?」
 確かに、確かに何の違和感もなく似合ってはいるが――
「それを自分で言うか?」
「当然」
「…………こんなものつけられるかとか、思わないのか?」
「別に思いませんよ?」
「でもさ、破滅的に似合わない子とかいたよね?」
「ええ、いました。そういう子には悲劇でしたよね」
「……二人だけじゃないのか?」
「ん? だってこれ、教学部政務科のパーティーの写真だもん」
「政務科全員こんな感じでしたよ」
「え?」
 それはまた……
「あの時は楽しかったよねー」
「はい」
 一体何をしたというのか……
 気になるがとても聞けない。
 なんか、恐ろしい答えが返ってきそうで――