
今日もまた制裁部に来ている。
以前、咎の燭台に驚いていた俺のために
なんの許可かというと、見学の許可だ。
ちなみになんの見学かは教えてもらっていない。
許可をとってくれた
今日は一人だ。
でもちゃんと案内してくれる人はいる。
鬼神の
「どこに向かっているんですか?」
「それは勿論、業炎の間だ」
「業炎の間?」
「そう。あるものを作ってる場所さ」
着けばわかると取り合ってくれなかった。
だが、何故そんな場所に?
疑問は尽きなかった。
しばらくして着いた業炎の間はあり得ないほどの暑さだった。
「あ、暑い――」
「それはそうだ。なんせここには業火の釜があるからな」
確かに、物凄く大きな釜がある。
「あれは一体何を?」
「見たんだろう?」
見た?
何を?
不思議そうな顔をしていたのか、補足された。
「咎の燭台」
言われて気づく。
確かに、見た。
不気味な燭台を……
「それが……いった――」
嫌な予感がした。
「…………グォォオオォオォオオォゥゥゥウウゥ…………――」
悲鳴らしきものが響き渡った。
「もう察しが付いていると思うが、あれは咎人の魂を炎に変えるための釜だ」
じゃああの中には魂が?
「こっちへ来い。中を見せてやる」
気は進まなかったが、行かなければ失礼にあたる。
しかたなく、大人しく後をついて行く。
釜の周りには、ぐるりと足場があり、蝋燭を持っている鬼神がいる。
棒の先に炎を移してからその炎を蝋燭に移している。
こうやって燭台を作っているようだ。
「ほら」
物凄い熱気を振りまいているから釜の中は凄いのかと思いきや、そうじゃなかった。
「あの丸いのは魂だ。あれがあの釜の高温にさらされ続けることによって自然発火する。その自然発火した炎をああやって棒に移してから蝋燭に灯すんだ」
そうしてからでないと蝋燭が跡形もなくなるらしい。
「あそこで魂を釜にくべている」
指さされた方を見ると、壺に入った魂をまるで石ころのようにがばっと入れている。
燭台を見た時に思ったが、咎人には本当に容赦がない。
唸り声も近くに来ると結構うるさい。
「ここは鬼神の中でも選ばれたものしか働けない」
「人を選ぶのか?」
「ああ、だって、ここ、うるさいだろ?」
言われて頷く。
「マトモな精神じゃ持たないんだよ。
この咎人の悲鳴と暑さに耐えうるだけの強靭な精神力と体力がないとここじゃ働けない」
もう一度魂をくべている鬼神を見る。
魂を蝋燭に移している鬼神も――
無表情だ。
「あいつらは咎人には何をしてもいいと思っている。それほどこの穢れきった魂が嫌いなのさ。だからここで働ける」
それを聞いて
「オレはあそこまで割り切れないから無理だけどなー」
「……
思わず口をついて出た言葉。
それに
「そりゃそうだろ。なんせ、あの人をあんな風にした根本の原因はこの愚かな人間の負の感情なんだから」
嫌いに決まっていると、そう言われて気づいた。
禍神が生まれる経緯と、
好きになれる筈がない……
自分を……仲間を失うきっかけになった存在を生み出すモノを許せるはずがない……
それが、
言われるまで気づかなかった俺は鈍過ぎる。