
今日もまたあの呻き声の響く咎の燭台の廊下を歩いていた。
これは
いつ来ても不気味で嫌な雰囲気の場所だ。
気が滅入る。
そうは言っても仕事なので諦めるしかない。
ゴトリ。
歩いていると蝋燭が崩れ落ち……魂の終りを告げる。
慣れない……
慣れたくないというのもあるが……
そんな憂鬱な気分で廊下を歩いていると知っている顔を見つけた。
「
「ん?」
名前を呼ばれて振り向いた
「よう。仕事か?」
「ええ。
「なるほど、それで
いくら封筒に入っているとはいっても。
「ところで、
「ん? オレ?」
「これ集めてるんだよ」
そう言って指差したのは崩れ落ちた蝋燭。
それを箒で塵取りに集めて袋に入れている。
「それ、どうするんだ?」
「ああ、業火の釜の燃料にするんだよ」
さらりと言われた言葉は結構凄かった。
いや、これが元は魂を燃やすためのもので役目が終わったからといって……
「エコだな」
使えるモノは何でも再利用するらしい。
不要になった書類なども一緒に燃料にして燃やしてしまうらしい。
「オレはこれを拾って業火の釜の管轄の鬼神に渡すだけ。後はアイツらが釜にくべるだろ」
そして気付く。
「
結構あちこちで見かける気がする。
葬送部の仕事は一つしかないから管轄も何もないのだが、他の部はそうではない。
「オレは監査課だな」
「監査課って――」
「基本的には咎の魂を監視して適正な罰を与える役目を担っているんだが……」
溜め息を吐いた。
「今日はちょっと下の方で立て込んでてな、警務官が出払っちまっててこれを処理するヤツがいないんだよ」
この蝋燭を放置するわけにもいかず、回収しているらしい。
「制裁部はきっとアンタが思っている以上にドロドロだぞー」
そう言いながら蝋燭を回収している。
いろいろ苦労が絶えなさそうだ。