
「ここ……は――?」
目が覚めるとベッドの上にいた。
「気がついたみたいだね」
ぼぅっとする頭で声がした方を見ると、
「ここは……」
「
「俺……の……?」
「何があったのか覚えてる?」
「何が……」
そして俺は思い出した。
「そうだ。俺……
青褪める。
「そう。一口でばたんきゅ〜。
「ここに運んでくれたのは?」
「もちろん
そこで威張られても……ん…………
「
「
信じられないことを言った。
「
「うん。いつも大量の書類を抱えて廊下を歩いたりしていたからね」
絶対こけるけど、と
「あの…………
「
そう言われて気付く。
額に濡れたタオルがのっている事に。
「
「ここでただ本を読んでいただけだよ」
要するに何もしていないらしい。
「何もしてないけど、一応騒音防止と悪臭防止はしてあげてるよ」
悪臭…………そうか、俺が倒れたから食事は
また失神してしまいそうだった。
悪臭は分かった。では騒音は――
「騒音って?」
「勿論
……泣きたい。
きっと物凄いことになっているんだろうと思う。
そして
途端に顔が引き攣った。
「こ…………この臭いは――」
「
「料理……」
いや、あれは料理ではないだろう!
「
いつ起きてもいいように気を遣ってくれているらしい。
だが――
気持ちだけにして欲しい。
――コンコン。
「どうぞ」
そして入ってくる
相変わらず臭いだけで失神してしまいそうだった。
「良かった。目が覚めないから心配してたんです」
そう言って手に持っている何かを差し出してきた。
「こ…………これは――?」
思わず聞いてみる。
多分聞いても意味はないけど。
「これはトマトリゾットです」
トマト!?
どこが!?
俺は緑色の物体を見て叫びそうだった。
米が中にあるのかも分からない。
緑色のドロリとした物体が皿の上に盛られている。
青汁のようだ……
「どうぞ」
ちらりと
「まだ体調が悪いですか? じゃあ、ボクが――」
そしてスプーンを取り、ふーふーと息を吹きかけて覚ましてからスプーンを差し出してきた。
物凄い笑顔だ。
ここに悪意はない。
それが余計に性質が悪かった。
そして俺は再びベッドに沈むことになった。