蒼氷(ソウヒ)、手紙が届いたぞ」
 緋燿(ヒヨウ)が物凄く嫌な台詞を吐いてくれた。
「手紙ぃ〜?」
 はっきり言おう、嫌だ。
 
 物凄く嫌だ。
 手紙は嫌な思い出しかない。
 だが、受け取らないわけにもいかないので受け取った。
 そして――
 
 差出人を見て握りつぶした。
 
「そ、蒼氷(ソウヒ)?」
「大丈夫だよ、緋燿(ヒヨウ)。ロクな手紙じゃないから」
 僕の行動を見て困惑している緋燿(ヒヨウ)に言い切った。
「いや、でも……見なくていいのか?」
 
 見る?
 これを?
 
 こんなものを?
 
 絶対に嫌だ。
 こういう時真面目な人は不便だ。
「ちっ……」
 仕方なく封を切る。
 内容をざっと確認して――
 
 ぐしゃ――

 
 再び握りつぶした。
 本当に忌々しいことしか書いていない。

「そ……蒼氷(ソウヒ)?」
 物凄く声を掛けにくそうにしているのにちゃんと名前を呼んでくる。
 いっその事ほっといてくれればいいのに。
 そうしたらこんな手紙無かったことに――
 
「……聖例会議の日程と出席しろという内容だったよ」
 
 ――したい。
 話してもなかったことにしたい。
 
「いちいちいちいちうるさいハエだ」
 
 なんであんな奴らと今さら会話なんてしないといけないわけ?
 有り得ないし。
 でも行かないとそれはそれでしつこくてウザイ手紙がまたくるんだよね……
 
「しかたない、緋燿(ヒヨウ)も来なよ」
 
 一万歩ぐらい譲って行ってやろうじゃないか。
 こうして管理局に行った。
 
 
 
 
 この僕がわざわざ足を運んでやったというのに、肝心の銀生(カネユ)はいなかった。
銀生(カネユ)はいないようだね」
「統轄と徳性の神でしたら、今、別件のほうでお忙しいようです」
 なら呼び出すんじゃないよ。
「そう」
 銀生(カネユ)以外のやつらとなんて話すだけ無駄。
「では帰る」
 くるりと後ろを向くと慌てたような声が聞こえた。
 忌々しい……だから嫌なんだ……
 自分たちのことしか考えない……
「僕は貴方方も知っての通り、何の役にも立たない…………神とも呼べぬものとなった。貴方方の言うとおり、あの場所にこもってあげた。
 これ以上何を望む?」
 僕は自分のしたことに後悔はない。
 でも――
「それは――」
「うるさい!」
 聞きたくない。
 自分たちのさらなる繁栄のために、僕に強いる。
 知識を深め役立てよという……
「力があるのなら自分でそれを成せ! これ以上僕に全てを押し付けるな!! 迷惑だ!!!」

 もう……ウンザリだった。

「そ、蒼氷(ソウヒ)様!?」
 
 誰かの声が聞こえる。
 でも、もう……
 一秒たりともここにいたくなかった。