
「こんにちは」
元気な声が下から聞こえる。
聞き覚えのある声だ。
そう思ってテラスから下を覗き込んだ。
「あれ?
「お久しぶりです。
「うん、そうだね。何かあったの?
「はい、その
珍しいと思いながら
中の手紙を読むと――
久しぶりじゃな、
折り入って頼みがある。
正直、この制裁部でやっていくのは厳しいと言わざるを得ない。
よって、少々修業を……というかあのドジを何とかしてくれ。
あのドジさえよくなれば今すぐにでも采神にできるのじゃ。
制裁部は最近物凄く忙しい。
ここで構ってやれる場合ではないのじゃ。
では、よろしく頼む。
「…………ここでしばらく修行しろって?」
「…………はい。
落ち込んでいる。
「あ〜、
それに尋常じゃないくらい忙しくなってきてるらしいし……
「ボクが至らないだけだと思います」
ドジさえなければねぇ〜……
「じゃあ、またここで働いてもらおうかな」
「はい! よろしくお願いします」
きっちりとした礼をする。
ドジ以外に突出した欠点はないからね、
頭も良いし、要領も悪くはないはずなんだけど……
ああ、そうだ。
「
でも結構借りちゃったんだよね。
体調が物凄く優れなかった時だから仕方なかったんだけど。
「
「ああ、よろしく」
「
だが
「そうですか? でも、ボク迷惑掛けるだろうし……」
まぁ……そうだろうね。
「大丈夫だよ。僕は一切気にしないから」
別に物がいくら壊れようとも気にならないしね。
「そう言ってくれるのは
…………そうだろうね。
「じゃあ、ボク掃除しますね!」
……空回り気味だけど。
「ちょっと、
「彼、悪気は一切ないんだ」
何を言ってるんだ? といった表情をしている
「いつも一生懸命なんだけどなかなか実を結ばないというか……」
叱ってもどうにもならないだろうし……
「だから、何をやっても責めないでやってね」
ドジが叱るぐらいでどうにかなるぐらいだったら
そして、ここに来る必要もなかった。
「なんの話だ?」
まぁ……いきなりこんなことを言われてもわからないか。
「彼ね、何もないところでよく転ぶんだ」
「転ぶ……それが何か問題あるのか?」
「うん。物持ったままでも転ぶからお茶こぼしたり書類ぶちまけたり……
でもまあそれはまだ序の口だね」
そして以前
「皿を洗うと三枚に一枚は落とすし、掃除をすると必ず物を落とすし、料理にいたっては食べられるもので調理したはずなのに危険な物体エックスが出来上がるんだ。それが結構毒性が高くて……どうやったら毒の一切入ってないものからあれだけの毒素を作り出せるんだろうって感心しちゃった」
僕の話を聞いて露骨に
「それ、食べたのか?」
「うん。
「僕や
食べても全然大丈夫だから僕は全く気にしなかったんだよね。
そうでなければ別の人材を頼んでるよ。
「だから、命が欲しかったら
がっしゃーん!!
破壊音が響く。
「あ〜、さっそく壊してるね」
今の音からすると食器かなぁ?
「きっと失敗ばっかりするから
期限も書いてなかったし……何時までいるかわからないね。
まぁ、僕は別に平気だけど……
館の中が賑やかになりそうだと思いながら、僕はテラスに戻った。