
扉が開く音がした。
「
テラスから下を覗き込む。
今日は少々帰ってくるのが遅かった。
仕事だったのもあるけど、主な原因は手に満載の買い出しの方だね。
「今日は遅かったね」
可哀そうに。
そう思って言ったのだったが、
「わかってるよ。これから急いで作るから少し待ってろ」
そういう意味じゃないんだよね。
これから
「――ご愁傷様」
僕はそう言うと身体を引っ込めた。
今日の晩御飯は何だろう?
まぁ……たとえ料理名を言われても僕には何であるか理解できないんだけど……
いや……あれを見て当てられる人物がいるならば是非、見てみたいものだ。
僕はたとえ極彩色でも気にならないけど――
まぁ……でも、あれは初めて見た時にはかなりの衝撃だった。
晴天の霹靂だった。
さて、そろそろ降りようか。
料理、出来てるだろうし。
下に降りるとキッチンの入り口で立ち尽くしている
想像以上の惨劇に声も出ないのだろう。
僕は後ろから近づいてポンと
僕が来たことに今気付いたようだ。
それほど衝撃的だったのだろう。
「だから言ったじゃない。ご愁傷様」
「
「そして言ったよね。命が惜しくば自分で作りなって」
僕は
後ろから
すでにふらふらだ。
そしていつもの席に着く。
「
「――神術って便利だよね」
力がほとんど使えない僕でもこのぐらいの軽い神術ぐらいなら使える。
臭いなんてシャットアウト。
そんなことを一切気にしていない
何故かご飯の見た目は正常だ。
しかし、僕は知っている。
このご飯も見た目が正常なだけで十分猛毒であると――
「戴きます」
そして一口。
「え?
驚いたのは
まぁ……突然倒れたら驚くよね。
「
そう思える
「仕事がきつくて疲れているんじゃないかな?」
僕はしらっと惚けることにした。
「そうですか……」
「じゃあボク、
「うん。よろしく」
そう返事をして僕は食事を続ける。
でも
何事もなくベッドまではつけないだろう。
何回か転ぶだろうからね。
ドシン! という音を聞きながら僕は料理を口に入れる。
…………食べれるけど美味しくはないんだよねぇ。