
「ここ……は――?」
ようやく
「気がついたみたいだね」
そう声をかけるとゆっくりとした動きで僕を見た。
「ここは……」
「
「俺……の……?」
「何があったのか覚えてる?」
「何が……」
そしてしばらく考えている。
起きぬけでぼうっとしているのだろう。
「そうだ。俺……
「そう。一口でばたんきゅ〜。
誤魔化したけど。
「二日も寝てたんだよ」
そう言うと驚いていた。
料理食べたぐらいでそんなに寝込んだら驚くか。
「ここに運んでくれたのは?」
「もちろん
「
やっぱり非力に見えるよねぇ……
「
実際、大の男も平然と抱えて歩けるほどの怪力だ。
「
「うん。いつも大量の書類を抱えて廊下を歩いたりしていたからね」
多忙な制裁部ではよくあることだ。
制裁部では体力なければやっていけない。
「まぁ、
それはもう諦めるしかないと僕は思うんだけどねぇ。
あれをどうにかすることが果たして出来るか?
その一点に関して言えば頭の痛い問題だ。
「あの…………
「
いろいろ破壊して、たくさん空回りしてたけど。
「
「ここでただ本を読んでいただけだよ」
僕は生活力がないと言われている。
期待するだけ無駄だと理解してもらいたい。
ただし――
「何もしてないけど、一応騒音防止と悪臭防止はしてあげてるよ」
そう言った瞬間、
まぁ……当然か?
「騒音って?」
悪臭の理由について理解した
「勿論
倒れたい気持ちもわからないではないかなぁ?
そう思いながら僕は術を一時的に狭める。
真っ青な
「こ…………この臭いは――」
「
「料理……」
口に手を当てた。
また倒れそうだ。
「
僕が見てもさっぱりわからないけど、
――コンコン。
「どうぞ」
必然的に
そして破顔した。
「良かった。目が覚めないから心配してたんです」
そうだよね。物凄く心配していたもんね。
そんなに仕事がキツイのかと凄く心配していた。
スッと
ここで
だから
「こ…………これは――?」
「これはトマトリゾットです」
自信満々に言い切った。
とてもそうは見えないけど。
「どうぞ」
悪魔の一声だっただろう。
でもさすがに全てを好意でやっている
それは僕だけではない。
だからこそ、この料理を止める人がいなかった。
「まだ体調が悪いですか? じゃあ、ボクが――」
恐らく、ニッコリと、悪意の全くない笑顔を
しばらく硬直状態だったが……………………食べた。
そして撃沈。
そうだよね……言えないよね。
途端に慌て始める
「まだ体調が悪いみたいだからそっとしておいてあげて」
そう言うと
僕はそう思いながら、手に持っていた書物に目を戻した。