
はぁ……
たとえ特異点に建っていたとしても所詮は建物。
老朽化には勝てないということか……
そう思いながら館の壁を少し離れた所から見ていた。
「あ、
すると
「どうかしたのか?」
「うん……あれ見て」
僕は見ていた館の壁を差した。
差された方向をじっと見つめる
「どれだ?」
「館の壁だよ」
それ以外に見えないでしょ。
「壁?」
僕に言われて改めて壁を見始めた。
そして呟く。
「そうだな……強いて言えば老朽化が進んでる……か――」
「そう! そうなんだよ!!」
そう力強く僕が返事をすると、
気にすることなく僕は続ける。
「僕がここに来てから一度も何もしてないし……汚れも白壁だから物凄く目立つし……そもそも建物に罅が入ってるんだからなんとかしないといけないなって思ってたんだよ」
地震なんか起こらないけど、万が一崩れたりしたら洒落にならない。
「だから
放置するわけにもいかない。
「僕が〈復元の光〉を使えたらわざわざ
ああ、忌々しい。
思い出しただけで気分が悪くなる。
「し…………
「当り前じゃない。確かに識者の館は狭いけど一人でやるのは大変だよ。だから
識者の館は狭い。
でも、館というからにはそれなりの広さはある。
いくらなんでもこれを独りでやらせるほど僕は鬼ではない。
「ちょ――」
そうと決まれば善は急げ。
「じゃあ言ってくるね」
僕は
なんか後ろで
僕の頭の中は壁の修繕でいっぱいだった。
そして
二週間ほどかかった。
広くはないとはいえ、やはりそれなりに面積はあるし手間がかかったのだろう。
しかし、良い感じに仕上がった。
二人には感謝だ。