
リビングで本を読んでいると、嫌な気配がした。
「ん……?」
上にあるのは制裁の扉だ。
やだなぁ……
「どうかしたのか?」
パタンと本を閉じて上を見上げた僕を不審に思ってか声をかけてきた。
「なんか……禍々しい気配が――」
そう告げると、
だが、願いは叶いそうにない。
ドタドタドタ…………バン!!
思いっきり扉を開けた
「
――だろうねぇ……
「なっ――」
「そう…………じゃあやはりこの気配は……」
だんだん忌々しい気配が広がっていく。
「そんなこと言ってる場合か!?」
まぁ……確かに。
「どうして開いたかわかる?」
「すいません。わからないんです。ボクはテーブルを拭いていたんですが……突然扉が光り始め、ガタガタと揺れて――」
「弾けるような音がして扉が全開した?」
「はい、そうです」
どうやら内側から無理矢理こじ開けられたようだ。
「勝手に外れるほど物騒な扉なのか?」
「いや……きっと向こう側から異常に強い負荷をかけられたんだと思うよ。そのせいで封印が耐えきれなかった」
「耐えきれなかったって……」
「相当性質の悪いのが出て来たね。二人はここにいるといい」
「
そんなのは決まっている。
「僕は騒ぎを鎮圧しないといけない。でも二人は無理がある。特に邪気に耐性の全くない
「ですが、今の
そう……今の僕では――
「
僕は……ここから出られない。
たとえ邪気に汚染されていたとしても――
だから引くわけにはいかない。
今の僕に、封印しきれるかどうかわからないけど……
テラスに向かうと、予想以上の惨状だった。
すでに逃げ出した魂もいる。
これ以上は防がなければ……
識者の館の周囲に結界を張る。
これ以上逃げ出さないように。
そして、中にいる魂を――
浄化する。
頭がくらくらする。
だが、ここで倒れるわけには……
力を振り絞って浄化作業を続ける。
そして――
気がつくと、だれかに支えられていた。
「う…………僕は……………………扉は――?」
「今、
「そう…………結界張って……………………浄化しただけでこんなになるなんて……ホント…………イヤになるよ――」
たったそれだけで力尽きた。
「そんなことはありません」
「ごめ……ん…………――」
無理が祟ったせいで、その後、一ヶ月もの間、僕はベッドから動けなかった。
本当に嫌になる。